洒落怖になるかわからないけど…先週の金曜日の話。
うちの会社は、IT系の企業が固まってるエリアで、街から少し外れた郊外にある。夜中にもなると辺りは真っ暗になるし、バスも22:00くらいが最終便。
で、まぁ仕事柄結構遅くまで残業してることがあるんだけど、その日も夜中2:00くらいになってしまった。
自分が最後だったので、会社の戸締まりをして、駐車場にある車へ向かっていた。
戸締まりをすると、会社周辺とか駐車場の街灯とかも全部消えて、ほんとに真っ暗になってしまうので、携帯のライトを足元に照らして歩いていた。
すると突然、
「キキキキキーッ!!」
っと、なんか自転車の急ブレーキのような音が少し遠くから、でもはっきりと聞こえてきたもんで、ビクッとなってしまった。
ちょっとビビったから小走りに車へ向かった。車に着いてホッと一息、安心してエンジンをかけたと同時に、車のAUTOライトが点灯。
ばっと照らされたその先には、倒れた自転車が。その瞬間、ほんの少し前に聞いた、自転車のブレーキ音と頭の中でリンクしてしまい、血の気が引いたのがわかった。
あせってパーキングからドライブにいれ、ライトをハイビームに。すると、さっきは見えなかった位置、倒れた自転車の奥に、倒れた人影が見えた。
だいぶためらったけど、はっきり見てるのに放置して逃げる方が、なんか後が怖い気がして、意を決し車を寄せて、
「大丈夫ですか?」
と声をかけた。
結構若い女の人だった。見た目、多分、25~6くらい。返事がないので、さらに
「救急車呼びますか?」
と聞いた。
すると
「…って…」
聞き取れなかったので、聞き返すと
「一番近いバス停まで送って…」
と。
はっきり言ってかなり後悔した。
仕方がないので、助手席のドアを開けて
「どうぞ」
とうながしたが、勝手に後部座席のドアを開けて乗り込んできた。
もう一番近いバス停なんてここから3分くらいだし、さっさと降ろそうと思い、車を出す。着くまでは終始無言。ミラーで様子をうかがおうとしたけど、運転席の真後ろに座ってるもんで、全く見えん。
で、あっという間にバス停に。徐々にスピードを落とし、停車しようとすると、
「ここじゃなーーーいっ!!」
と、心臓止まるかと思うくらいの大声で突然怒鳴られた。
「ええ…じゃあ次の〇〇バス停ですか?」
「そう」
仕方なく、再度発進。次のバス停までは5分くらい。
気にしないようにしてたんだけど、時おり、
「くくくっ…」
って泣いてるのか、笑いをこらえてるのかわからない声が真後ろから…
そうこうしてるうちに着いたら、声をかける間もなく車から降りてた。
降りたのを確認したので、礼も言われてないけど、もう関わらんとこうと思い、車を出そうとすると、運転席の窓をコンコンと叩いてきた。窓を開けろと言うジェスチャー。
仕方なく開けると、ニコッいう笑顔とともに
「ありがとう」
と一言。
次の瞬間、羽織ってたジャケットをバッと脱ぎ捨てた。目に入ってきたのは、女の上半身の素肌。それだけならいい。
上半身にすきまなく刻まれた入れ墨。
前面に虎。
女はくるっと背中を向ける。
背中に龍。
脱ぎ捨てたジャケットを再度羽織り直すと、反対車線から来たタクシーを拾って、今来た道を戻って行った…
特にオチもなくてすいません。
とある日の実体験でした。
「編集部のコメント」
ネタじゃニャいなら、恐い話だニャ。
